ゆとり教育 学力低下の弊害 問題点 見直し

ゆとり教育による学力低下の現状について

2006年8月に行われた『gooリサーチ』において、子どもを持つ親を対象にゆとり教育・学力低下に関する意識調査の結果が発表されました。有効回答者1,736名のうち43.9%が「自分の子ども時代に比べて学力低下傾向にある」と回答され、47.7%が「低下していない」と回答されたようです。親世代の学力低下への問題意識は真っ二つに分かれているようです。ゆとり教育の学力低下の弊害や問題点が叫ばれていますが、ゆとり教育に賛成の親たちもたくさんいます。

ゆとり教育の理念に沿う形で、これまで1977年(昭和52年)、1989年(平成元年)、1999年(平成11年)の3回にわたり、文部科学省によって「授業時数の削減」「学習内容の簡易化」「総合科目の新設」など学力低下に繋がりかねないとも言える改訂が繰り返し行われてきました。

文部科学省が全国の小学5、6年生約21万人と中学生約24万人を対象に実施した「学力テスト(教育課程実施状況調査)」の結果、ゆとり教育での学力定着度をみる初のテストでは、問題全体の約3割が前回と同一のもので、正答率が前回より良かったものが約43%に上り、学力低下の心配はないという発表がされています。

ただしゆとり教育の学力低下といっても、何を学力として認識するのか、またその学力をどのように評価するのかの基準は現在一定ではなく、各種の統計データから単純にゆとり教育による学力低下を断定することは難しいといえるのかもしれません。ただし数学、物理、化学などの理系科目は答えが1つしかなく、基準が明確であるといえるでしょう。

ゆとり教育による学力低下の弊害と問題点

子ども達の学力低下が注目されるようになったのは、2003年の学習到達度調査において日本の順位が下がったことがきっかけでした。ただこの調査は前回調査とは対象国が異なり、また日本の成績自体は前回調査と比べてもほぼ差がなく、順位が下がったことで「ゆとり教育による学力低下だ」とは言い切れないのも事実です。

ゆとり教育が学力低下を招いているのではないという説に対して、指導要領を見直したことで現場が基礎・基本の定着に努力した結果であり、文部科学省による新指導要領の狙いは正しく、ゆとり教育は学力低下を招くのではなく、むしろその学力低下に歯止めをかけているとの反論もされています。

ゆとり教育によって親が学力低下に不安を抱き、子どもを一斉に塾へ通わせ始めたことによる弊害も数多くあります。ただでさえ高い教育費に加え学習塾費用までかかり家計は圧迫され、個人から大手までほとんどの塾では講師不足で悲鳴を上げ、講師そのもののレベルの低下もささやかれています。

けっきょく夜更かしや朝ごはんを食べないなど子ども達の生活が乱れ続けたことで、ますます学力低下が進むという流れがあるのではないでしょうか。ゆとり教育を見直す以前に、「早寝早起きや朝ごはんをしっかり食べさせる」などきちんとした親のしつけ、教師の指導力の向上が学力低下を食い止めるといえるのではないでしょうか。

フィンランドのゆとり教育による学力低下の現状

2003年の学習到達度調査において、全ての項目で日本の成績を上まわったフィンランドでは週休二日制が当たり前です。また総合的な学習にかけている時間も日本よりはるかに多く、つまりフィンランドでは日本のゆとり教育に近い内容で教育がされても、実際に学力低下していないという事実もあります。

そもそもゆとり教育とされるヨーロッパの学校では日本やアメリカの学校に比べて体育、家庭科などの授業が少ないそうです。音楽や芸術なども選択式がほとんどなので、同じ週休二日制でも基礎科目である国語・数学の授業時間においては日本を上回るので学力低下の心配がないという事実があるそうです。

ただし、フィンランドやヨーロッパでのゆとり教育の制度だけまねても、環境も違えば教育者側の心構えも違い、結局システムを動かしているソフトウェアが異なっていては全く意味がないという批判がされており、学力低下の現状を正しく得られない状況が続いています。

ゆとり教育による学力低下は、週休2日制などをとりいれた文部科学省のゆとり教育の新指導要領の方針が間違っているかどうか・・という議論の前に、そもそも「子どもをしつけ、教育し、育てる立場である人間の教育ができていない」問題点を見直すべきであるといえるのではないでしょうか。